青山のセレクトショップを経営する詩史は夫がいながら、友人の息子で20歳年下の透と付き合っていた。24時間、詩史からの電話を待つ純粋で一途な透。一方、透の親友の耕二は、専業主婦の人妻・喜美子と不倫中。耕二は喜美子と本命の恋人との間を自由に行き来していたが、やがて、ふたつの恋にも終わりがやってくる…。
途中、秋になったところで、イチョウ並木が映った。
まっ黄色の、きれいなイチョウ。
それで胸が苦しくなったのは、きっと気のせいじゃなかった。
初めて会ったとき、イチョウ並木を通ってお昼を買いに行った。
2人の仲がうまくいかなくなるまで、葉っぱは少し残っていた。
あたたかい気候だったとはいえ、
あれがとっても短い期間であったことを思い知らせる。
夏になった今、イチョウの木は緑の葉っぱで思いっきり着飾ってる。
これがまた黄色くなって散るころには、私は誰のことを想ってるんだろう。
彼は、誰のことを想うんだろう。
「見えるわ。ここからも。私、透くんと同じものを見てる。」
「だけど、違う場所にいる。」
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